アルプスの山小屋案内#1 - クーベルクル小屋(Refuge du Cuvercle)
はじめに
今日から全12回にわたって、アルプスの山小屋をご案内します。
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alpes.hatenablog.com
山域
リゾート
シャモニ
ロケーション
タレーフル氷河右岸台地、モアヌ針峰南端基部
標高
2687m
出発地
モンタンベールの駅(1913m)
用具
ピッケル、アイゼン(氷河ではストックが便利)、パーティとしてザイル(20m)
難しさ
技術的にはやさしいが、氷河上の歩行とモレーンの岩くずのうえを歩く、また岩壁につけられた鉄バシゴの登降がある
所要時間
6時間
カテゴリー
- AAA
- AAA
- AAA
- AA
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コースのアウトライン
モンタンベールの登山鉄道駅から200mほど先きにあるハシゴをつたってメールドグラス水河に降りる。メールドグラス氷河を遡行し、左から合流してくるレショ氷河にはいる。このあたりはモレーンがるいるいとしている。この上にルートをとるとすぐ左手の垂直の岩壁にスリル満点の鉄はしごがある。これを登りきるとタレーフル氷河の右岸の素晴らしい景観のお花畑の径となり、マーモットがあちこちで顔をだして出迎えてくれると、左手前方の一段と高い岩棚の上に石造りのがっちりした小屋がみえてくる。
ワンポイント
アルプスの山小屋を語るとき、先ずこの小屋をおいてないと断言できる。今までに訪れた山小屋は、それぞれが個性的で素晴らしいロ ケーションにあり、それぞれに楽しく忘れられない充実した想出があるが、この小屋は景観・環境共に抜群。山小屋の要件全てを備えているといえる。アプローチは長く遠いが"息をのむ雲上の楽園"と形容しても過言ではない。
1860年代のアルプスの黄金期には、クロ、ワインパーらが大きな一枚岩の下にキャンプしている。岩の下には現在も以前の小屋が健在であり、この大自然の造形美を見るだけでも素晴らしく、汗をかいて訪れる価値がある。さらに、この一枚岩の上でトカゲをきめこみモンブランとその前衛針峰群やグランド・ジョラスの北壁から、トリオレ針峰、レ・トロワット針峰へと続く大パノラマとタレーフル水河圏の雄大な展望を楽しみながら、かつてこの小屋に憩ったリオネル・テレイ、ヘルマン・ブール、ガストン・レビュファー、アンデル、ヘックマイヤーらそうそうたる名アルピニスト達に想いをはせれば、さらなる心ときめく課題が湧いてくる。