アルプスの山小屋案内

ヨーロッパアルプスの山小屋を案内するブログです。1990年代の情報のため、現在の状況と異なる場合があります。

アルプスの山小屋案内#2 - アルジャンチエール小屋(Refuge d'Argentière)

はじめに

今日はシャモニのアルジャンチエール小屋をご案内します。
本記事を読む前に、以下の記事を一読されることをおすすめします。 alpes.hatenablog.com

ロープウェー駅からアルジャンチエール小屋までの略図
ロープウェー駅からアルジャンチエール小屋までの略図

山域

モンブラン

リゾート

シャモニ

ロケーション

アルジャンチエール針峰のダルジャン山稜の基部にある。
まさにアルジャンチエール氷河の真っ只中という恵まれたロケーションにある。氷河圏を囲む岩と雪の峰峰の大パノラマの景観は圧巻。

標高

2771m

出発地

グランモンテのロープウェー山頂駅(3297m)

用具

アイゼン、ピッケル(ストック)、パーティとしてザイル(20m以上)必要

難しさ

技術的には課題はないが、完全な氷河上の雪上歩行

所要時間

3時間

カテゴリー

  1. AA
  2. AAA
  3. A
  4. A

※カテゴリー詳細はこちら

コースのアウトライン

グランモンテのロープウェー駅からシャルドネ針峰とシャルドネ氷河を正面に見ながらロニャン氷河を下る。冬季はスキーの滑降ルートとなる広い斜面で傾斜はそうないから先行者のトラック(踏みあと)に従う必要はなく、アイゼン歩行の訓練をするつもりで課題をもって下降したい。
晴れていさえすれば、スタートから常に小屋が視界のなかにあり、また小屋までのアルジャンチエール氷河はほとんど傾斜を感じない、ほぼ平坦な氷河で大きなクレバスの危険はない。氷河上にはところどころに池(水溜まり)ができていて、美しい景観をみせている。
下りはグランモンテへ登り返さずに、ロープウェーの中間駅(ロニャン)まで氷河をそのまま下る。
氷河の下部は大小さまざまなクレバスがあり、次にセラック帯となるので、氷河左岸に慎重にルートをとる。やがて左岸のモレーン上に踏み跡が現われ、しだいにはっきりとした登山道となり中間駅へ続く。

ワンポイント

氷河右岸の岩場に建つ小屋は内部はもちろん外壁も木造の三階建で平坦な屋根はヘリポートになっている。
標準時間内に到達できると簡単に思い込むと、これがそうはいかない。氷河をもつ4千米峰からなるアルプスの山行を楽しむには、単に体力や技術だけでなく、アルプスの広大なスケールに十分慣れて、正しい距離感と判断力を養う必要を実感し、さらにつかむことができたならやさしいこのアプローチも、内容的には十分に実りある山行となる。