アルプスの山小屋案内

ヨーロッパアルプスの山小屋を案内するブログです。1990年代の情報のため、現在の状況と異なる場合があります。

アルプスの山小屋案内#10 - コンコルディア小屋(Konkordiahütte)

はじめに

今日はベルナー・オーバーラントのコンコルディア小屋をご案内します。
本記事を読む前に、以下の記事を一読されることをおすすめします。 alpes.hatenablog.com

ユングフラウヨッホ駅からコンコルディア小屋、キューボーデンまでの略図
ユングフラウヨッホ駅からコンコルディア小屋、キューボーデンまでの略図

山域

ベルナー・オーバーラン

リゾート

グリンデルヴァルト、ヴェンゲン、またはキューボーデン

ロケーション

アレッチ氷河コンコルディアプラッツのフルバルグ東端基部岩上

標高

2850m

出発地

ユングフラウ鉄道ユングフラウヨッホ駅(3475m)、またはキューボーデンから

用具

アイゼン、ピッケル(ストック)、パーティとしてザイル(20m以上)必要。

難しさ

技術的には課題はないが、完全な氷河上の山行

所要時間

ユングフラウヨッホ〜コンコルディア小屋

5時間

コンコルディア小屋〜キューボーデン

6時間

カテゴリー

  1. AAA
  2. AAA
  3. AAA
  4. AA

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コースのアウトライン

ガイドブックの"THE ALPINS by Classic Routes"にはオーソドックスにキューボーデンからのコース説明となっているが、翌日の登山のことを考えたとき、文明の利器を利用してユングフラウヨッホからの下降という楽なアプローチを選択することになる。
ヨッホのトンネルから大雪原に出たならば、すぐにアンザイレンしユングフラウフィルン(万年雪)の下降を開始する。
アルプスで最も広大なアレッチ水河の真っ只中を標高差約700mのゆるい雪上の下りでコンコルディアプラッツの大氷原へ、左岸岩壁上の小屋へは氷河が後退したため、100mもの磨かれた絶壁につけられた高層ビルの避難バシゴのような鉄製の階段をのぼらなければならない。
翌日の小屋からメルイェレ湖までは、表面の雪もほとんど消えているしモレーンが高速道路のように眺められるので、いとも易く思えるが、これは広大なスケールの真っ只中にいるために距離感が狂ってしまっての錯覚で、メルイェレ湖をへてキューボーデンまでは、たっぷり一日の行程とみておくべきである。

ワンポイント

地図を広げてみればわかるように、コンコルディアプラッツはその名のとおり氷河が四方から流れこむ広大な氷と万年雪の世界である。この山行では、氷河特有のさまざまな現象を体験できる。特にエヴィヒシュネーフェルト氷河が大崩壊して合流している荒荒しく壮大なセラックや氷河上の川、この川の水が大きな渦巻きとなってボコボコと氷河の深みに吸いこまれていく様子には思わず息を止めてしまう。近年痩せたとはいえこのあたり氷河の厚みは800mもある。 1997年に増改築されて、食堂、廊下、寝室すべてが明るく広くなって、氷河の真っ只中にあるとはおもえない設備が充実した素晴らしい山小屋となった。