アルプスの山小屋案内

ヨーロッパアルプスの山小屋を案内するブログです。1990年代の情報のため、現在の状況と異なる場合があります。

アルプスの山小屋案内#5 - ドーム小屋(Domhütte)

はじめに

今日はツェルマットのドーム小屋をご案内します。
本記事を読む前に、以下の記事を一読されることをおすすめします。 alpes.hatenablog.com

ランダ駅からドーム小屋までの略図
ランダ駅からドーム小屋までの略図

山域

ヴァリス ペニンアルプス

リゾート

ツェルマット

ロケーション

フェスティグラートの岩稜末端の見晴らしのよい台地にある。

標高

2940m

出発地

BVZ鉄道のランダ駅(1400m)

用具

特に必要はない。

難しさ

標高差1500m、スイス国内の最高峰の登山ベースとなる小屋へのアプローチにふさわしく、生半可な体力・気力では到達できない。

所要時間

5~7時間

カテゴリー

  1. AA
  2. AA
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  4. A

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コースのアウトライン

ツェルマットの二つ手前のBVZ鉄道のランダ駅に停まる電車の本数は少ないうえに、ロープウェー等の乗り物もなく、140年前の先駆者と同様にランダの村から歩くことになる。したがってツェルマットの出発時間はこれらを配慮する必要がある。
駅のツェルマット寄りにはキャンプ場があるが、ランダそのものは数十軒の小村である。スイスではどんなに小さな集落にも教会がある。通りからはいったところにあるその教会の脇を通過すればもう人家はなく、小規模のTバーリフトのある牧草地を横切ってフェスティ氷河の水流ドルフバッハを渡る。このあたりが標高約1500m、しばらく樹林帯の登りがつづきアルプにでると、ツェルマットのズンネッガからテッシュのアルプを経てザンクト・ニクラウスに至る"パノラマトレイル"の標識がある。つい数年前に造られたルートでまだあまり歩かれていない。このアルプから傾斜はきつくなり、すぐに岩壁になる。下から見上げるとどこにルートがあるのかわからないが、近づくと岩の弱点をぬってルートがつけられている。ところどころにワイヤーがあるこの岩壁を登って左上へぬければ小屋まではもうひとふんばりの登り。

ワンポイント

ドームとテッシュホルンは背後になり見えないが、マッタータール対岸には右からビスホルン、そして秀峰ヴァイスホルン、 ロートホルンと、マッターホルンまで4000m峰の壮大なパノラマが展開する。 アルプスで最も標高差のある登り甲斐のある4000m峰であるからアルピニストにとって、当然に人気がある。にもかかわらず小屋は75ベットと中規模の収容力なので、まず宿泊の予約をとるのに一苦労する。きっと近々には増改築されて、根性のあるアルピニストを迎えてくれることと期待している。
この小屋へは、ドーム(ごく希にテッシュ)をねらうアルピニスト以外は歩かないので、4000m峰の登山道とは思えないほど、かぼそくて静かなトレイルである。