シャモニーモンブランのハイキングコース案内#6 - ヴァレーブランシュのトラバース
はじめに
今日は、ヴァレーブランシュのトラバースをご案内します。
本記事を読む前に、以下の記事を一読されることをおすすめします。
alpes.hatenablog.com
カテゴリ
- ピッケルとアイゼンを使った登山
コース
- フランス側のエギーユ・デ・ミディからイタリア側のジュアンのコルヘ大雪原の横断
シャモニー(1035m) ---- プラン・ド・レギーユ(2308m) ---- エギーユ・デ・ミディ(3842m) ・・・・ エルブロンネ展望台(3466m) ---- エギーユ・デ・ミディ(3842m) ---- プラン・ド・レギーユ(2308m) ---- シャモニー(1035m)
表記 | 移動手段 |
---|---|
==== | 電車 / バス |
---- | ケーブルカー / ロープウェイ / ゴンドラ |
・・・・ | 徒歩 |
登り
ロープウェイ(シャモニー ~ プラン・ド・レギーユ ~ エギーユ・デ・ミディ) 約50分。
徒歩(エギーユ・デ・ミディ ~ エルブロンネ展望台)。
シャモニーに到着したアルピニストが先ず向かうべきところはブレヴァンでしょう。そしてモンブラン山群の大パノラマを眼前にして、1. どのピークを登るべきか? 2. どのルートから? の課題につきあたります。
何はともあれ、高山をめざすアルピニストには、まずヴァレーブランシュの横断を推奨します。エギーユ・デ・ミディからジュアンのコルへ。大雪原のトラバースはアルプスの広大さ、厳しさ、美しさ、雪と岩の世界を存分に体験することができますし、高山での体調づくりにもなります。
シャモニーの朝一番のロープウェイに乗れば、午前中には仕上げられる山行ですが、決してこの所用時間は守る必要はありません。こんな短時間で完成させてはこの山行の意味が半滅してしまいます。
ケーブル駅の氷のトンネルをぬけると朝の陽光をまともにうけて、急峻な氷雪の東北東稜の下降です。出だしということもあって、この山行で最も緊張するピッチです。肩に降りたってホットして、はじめていま自分が広大なプレイグランドの真っ只中にいることを実感するでしょう。
ミディの南壁、タキュールの東面の柱状岩稜とクーロワール、そしてトラバースが進むにつれて、ピラミッド・デ・タキュル、アドルフ・レイ・ピーク、そして垂直にそそり立つグラン・カピュサン、トリダン・デ・タキュルの針峰群と、次から次へと岩と雪の世界が華麗に展開します。
極付けは終始天空を指し示すダン・デ・ジュアン(4013m)の巨大な針峰とジュアンのコルをはさんだ右奥に美しい氷雪の北壁を正面にしたツール・ロンドがどっかりと、このトラバースの完成を見守っていてくれます。この山行は天候と雪のコンディションさえよければ、ロープウェイが3800mの標高まで運んでくれて、帰路もまたロープウェイで、今日一日の山行の成果を確認できる恵まれたコースです。技術的な困難さはありませんが、全コース3400mを越す高山の氷河上の雪上ルートですからヒドゥンクレバスに細心の注意が必要です。また、晴天無風の時は、太陽の恵みが過酷なファクターとなり、天候が崩れると気温はみるみるうちに下がり、霧が発生した場合は、地図と磁石が完璧に使いこなせる能力が求められます。
下り
ロープウェイ(エルブロンネ展望台 ~ エギーユ・デ・ミディ ~ プラン・ド・レギーユ ~ シャモニー)。
ダン・デ・ジュアンのコルにあるイタリア側のエルブロンネ展望台からヴァレーブランシュの上をまたぐロープウェイでエギーユ・デ・ミディへ、ミディからプラン・ド・レギーユ経由、シャモニーへ戻る。