アルプスの山小屋案内

ヨーロッパアルプスの山小屋を案内するブログです。1990年代の情報のため、現在の状況と異なる場合があります。

ベルナー・オーバーラントのハイキングコース案内#2 - グリンデルワルトからユングフラウヨッホとヴェンゲン

はじめに

今日は、グリンデルワルトからユングフラウヨッホとヴェンゲンのハイキングコースをご案内します。
本記事を読む前に、以下の記事を一読されることをおすすめします。 alpes.hatenablog.com

スイス全図
スイス全図

カテゴリ

  • ハイキング

コース

  • アイガーの岸壁をくりぬいたトンネルをくぐりヨーロッパ最高所のトンネル内の鉄道駅へ、雪と氷の世界を満喫

グリンデルワルト(1034m) ---- メンリッヒェン(2225m) ・・・・ クライネ・シャイデック(2061m) ==== ユングフラウヨッホ(3454m) ・・・・ アイガーグレッチャー(2320m) ・・・・ グリンデルワルト(1034m)

表記 移動手段
==== 電車 / バス
---- ケーブルカー / ロープウェイ / ゴンドラ
・・・・ 徒歩
登り

ロープウェイ(グリンデルワルト ~ メンリッヒェン)。

徒歩(メンリッヒェン ~ クライネ・シャイデック)。

アイガー北壁を正面にみながらのハイキングは万人むけの軽いハイキング。

登山電車(クライネ・シャイデック ~ ユングフラウヨッホ) 51分。

下り

徒歩(ユングフラウヨッホ ~ アイガーグレッチャー ~ グリンデルワルト) 約5時間。

アイガーグレッチャー駅からクライネ・シャイデック、さらにアイガー北壁山麓のアルプをグリンデルワルトまでハイキング。

または、徒歩とロープウェイ、登山電車を乗り継ぎ約5時間。
登山電車(ユングフラウヨッホ ~ クライネ・シャイデック)。

徒歩(クライネ・シャイデック ~ メンリッヒェン)。

ロープウェイ(メンリッヒェン ~ ウェンゲン)。

登山電車(ウェンゲン ~ グリンデルワルト)。

ユングフラウ、メンヒの眺望を楽しんだのち登山電車で戻る。

ワンポイント

トンネルの入り口にあるアイガーグレッチャー駅はその名のとおり、駅のすぐ下にアイガー氷河がむきだしに迫り、氷河のすさまじく荒々しい姿をまのあたりに眺めることができます。帰路は、ここから氷河を左手に見ながらアルプの中を、真下に見えるクライネ・シャイデックまで歩きます。
クライネ・シャイデックは、アイガー西山稜の尾根の基部にあたる部分にある峠です。ウェンゲンアルプとグリンデルワルトとを結ぶこのアルプの草原には、ホテルやお土産店もありたいへん販やかです。
魔の岩壁と形容されているアイガーの北壁は、仰ぎみていると、首筋が痛くなるほどにその1900mの垂直の壁が頭上を圧し、迫力満点です。

登山電車

BOB

ベルナーオーバランド鉄道。1890(明治28)年完成。
インターラーケン ~ グリンテルワルト
インターラーケン ~ ラウターブルンネン

WAB

ウェンゲンアルプ鉄道。1893(明治26)年完成。
グリンデルワルト ~ クライネ・シャイデック ~ ウェンゲン ~ ラウターブルンネン

JB

ユングフラウ鉄道。1896(明治29)年起工、1903(明治36)年にアイガーヴァントまで、1912(大正元)年にユングフラウヨッホまで完成。
クライネ・シャイデック ~ アイガーグレッチャー ~ ユングフラウヨッホ

ベルナー・オーバーラントのハイキングコース案内#1 - グリンデルワルトからフィルスト

はじめに

今日は、グリンデルワルトからフィルストのハイキングコースをご案内します。
本記事を読む前に、以下の記事を一読されることをおすすめします。 alpes.hatenablog.com

スイス全図
スイス全図

カテゴリ

  • ハイキング

コース

グリンデルワルト(1034m) ---- フィルスト(2168m) ・・・・ バッハゼー(2601m) ・・・・ ファウルホルン(2681m) ・・・・ バッハゼー(2601m) ・・・・ フィルスト(2168m) ・・・・ グリンデルワルト(1034m)

表記 移動手段
==== 電車 / バス
---- ケーブルカー / ロープウェイ / ゴンドラ
・・・・ 徒歩
登り

ロープウェイ(グリンデルワルト ~ フィルスト) 約30分。

徒歩(フィルスト ~ バッハゼー) 約1時間。

バッハゼーまでなだらかな登り。

下り

徒歩(ファウルホルン ~ バッハゼー ~ フィルスト ~ グリンデルワルト) 約3~4時間。

フィルストからグリンデルワルトまでは、地図と完備した道標にしたがって自由にたくさんのコースを選択できる。

ワンポイント

"スイスのお花畑を歩こう"という話がでた時に、そのイメージに最もぴったりの場所がベルナー・オーバーラントのグリンデルワルト村だとおもいました。
アルプスの少女ハイジ』に描写されているイメージの世界そのものです。
アイガー、シュレックホルン、ヴェッターホルンの4000m級の山々の大岩壁と氷河が、すぐ近くに迫り、そこからつづくアルプと牧草地帯は素晴らしいロケーションで、美しいスイスにあって、さらにスイスアルプスの美しさを代表する景観です。(小説『アルプスの少女ハイジ』の舞台はスイス東部のマイエンフェルトで、小説にあやかって観光客向けの散策コースがつくられています)

ヨーロッパで最も長いといわれるフィルストへのリフトは、右横向き二人掛けとなっていて、アイガーからヴェッターホルンへとつづくパノラマと眼下に展開するアルプ、さらには牧場の緑やお花畑がいっぱいにひろがり、放牧された牛や羊は首に付けた鈴を鳴らしながら、のんびりと牧草を食べ群れをなしたり寝そべったりと、のどかなアルプスの山村の風景を楽しませてくれます。(このリフトは、輸送力増強のため1991年に新しいロープウェイに掛け替えられました。古き良きものが消えて残念!)

フィルストにはレストランもあり、ベルナー・オーバーラントの展望台となっています。ここから1時間弱で、小さな山上湖バッハゼーです。高山植物のお花畑のなかをせせらぎが流れる、まさにアルプの世界のハイキングです。ツェルマットのスネガやリッフェルゼー等とともに"アルプスの山の湖"を代表するこのバッハゼーはぜひ訪れてみたい場所のひとつです。
さらに、1時間30分の登り(標高差400m)でファウルホルン(2681m)の頂上へ立つことができます。

ツェルマットのハイキングコース案内#4 - ツェルマットからブライトホルン

はじめに

今日は、ツェルマットからブライトホルンのハイキングコースをご案内します。
本記事を読む前に、以下の記事を一読されることをおすすめします。 alpes.hatenablog.com

スイス全図
スイス全図

カテゴリ

  • スキー
  • 登山

コース

ツェルマット(1605m) ---- クライン・マッターホルン(3820m) ・・・・ ブライトホルン(4164m) ・・・・ クライン・マッターホルン(3820m) ---- ツェルマット(1605m)

表記 移動手段
==== 電車 / バス
---- ケーブルカー / ロープウェイ / ゴンドラ
・・・・ 徒歩
登り

ロープウェイ(ツェルマット ~ クライン・マッターホルン) 約50分。

徒歩(クライン・マッターホルン ~ ブライトホルン) 約2時間~2時間30分。

下り

登りと同じルート。
徒歩(ブライトホルン ~ クライン・マッターホルン) 約1時間~1時間30分。
ロープウェイ(クライン・マッターホルン ~ ツェルマット) 約50分。

ワンポイント

クライン・マッターホルンへはヨーロッパ最長のロープウェイが2回の乗り換えで一気に富士山とほぼ同じ高さへとはこんでくれます。
もう、ここは万年雪の別世界で一年中スキーが楽しめます。
一流品のレンタルスキーとリフトの完備で、心得のあるスキーヤは10キロのダウンヒルの夏スキーが豪快に楽しめます。
リフトはイタリー側にも通じており、国境をこえてのスキーもごく自然で、ヨーロッパならではのスケールの大きなスキーができます。

ブライトホルンへの登頂ルートは、クライン・マッターホルンのロープウェイ駅から南のブライトホルンプラトーと呼ばれる大雪原に出て、このほとんど平らな雪原をブライトホルンの南斜面に向けて横断し、頂上の南側に回りこみ、次に頂上から南西にのびている雪稜にとりつきます。日本の山では体験できない広大な雪の斜面です。直接頂上目がけてダイレクトにこの大雪壁を登攀することもできますが、もちろんアイゼンとピッケルの領域となります。
天候さえよければ、楽しい雪上のプロムナードと頂上での展望が満喫できますが広大な雪原を歩くので、ガス等で視界がきかない時はたとえ他の登山者のトラックがあったとしても中止すべきでしょう。
標高を別とすれば、技術的には谷川岳の天神峠から頂上往復よりは容易で、いままでに、春山の雪の経験があれば、十分に登頂可能です。
しかし、スタートの際のアイゼン装着等の準備はゆったりと時間をかけておこなうなどして高度順化に心がけましょう。雪原にはどこにクレパスがあるかわかりませんので、単独は好ましくありません。ロープによるアンザイレンでの登山となります。

装備: 登山靴・スパッツ・手袋・帽子・ストック(ピッケル)・アイゼン・サングラス
(ストック(ピッケル)・アイゼンはツェルマットの運動具店でレンタルがあります)

ツェルマットのハイキングコース案内#3 - ツェルマットからシュヴァルツゼーとツムット

はじめに

今日は、ツェルマットからシュヴァルツゼーとツムットのハイキングコースをご案内します。
本記事を読む前に、以下の記事を一読されることをおすすめします。 alpes.hatenablog.com

スイス全図
スイス全図

カテゴリ

  • ハイキング
  • 登山

コース

ツェルマット(1605m) ---- フーリ(1864m) ---- シュヴァルツゼー(2583m) ・・・・ ヘルンリ小屋(2775m) ・・・・ シュヴァルツゼー(2583m) ・・・・ シュタッフェル(2200m) ・・・・ ツムット(1936m) ・・・・ ツェルマット(1605m)

表記 移動手段
==== 電車 / バス
---- ケーブルカー / ロープウェイ / ゴンドラ
・・・・ 徒歩
登り

ロープウェイ(ツェルマット ~ シュヴァルツゼー) 約50分。

徒歩(シュヴァルツゼー ~ ヘルンリ小屋) 約2~3時間。

下り

徒歩(ヘルンリ小屋 ~ シュヴァルツゼー ~ シュタッフェル ~ ツムット ~ ツェルマット) 約6~7時間。

シュヴァルツゼーからシュタッフェルまで約1時間30分。
シュタッフェルからツムットまで約1時間30分。
ツムットからツェルマットへはゆっくり歩いて1時間。

ワンポイント

シュヴァルツゼーにはホテルもあり、このホテルのベットからは窓一杯にマッターホルンを真近に仰ぎみることができます。素晴らしいロケーションです。
シュヴァルツゼー(Schwarzsee)のゼー(see)は湖の意味であって、ここにもマッターホルンを映す山上湖があります。しかも、この小さな池の傍には「雪のサンタマリア」というロマンチックな名前の小さな礼拝堂があり、絵になる風景です。

シュヴァルツゼーから頂上へ真っすぐに伸びる稜線がヘルンリ稜で、マッターホルンへのノーマルなルートとなっています。頂上をめざす登山者は前日このヘルンリ小屋に泊り、翌朝3時から4時頃に出発するのが一般的です。
(私は、1994年7月23日、4時5分出発で山頂11時着、下山開始11時20分、小屋の帰着18時20分。登り7時間、下り7時間の14時間にわたる気力・体力・技術の充実した単独登攀でした。天候は午後2時頃まで晴れで素晴らしい眺望でしたが、3時頃から雷鳴と雪になり降雪の中の下降となり、まさに「星と嵐」の貴重な登山を体験することができました。)
ヘルンリ小屋まで登るとマッターホルンは頭上に迫り、ますますその巨大さをまし迫力満点です。元気印の方にはお薦めします。

シュタッフェルへはマッターホルンの北壁の裾野の高山植物が咲き乱れるアルプのなだらかな径のハイキングとなります。
途中のツムットは、戸数わずかな山奥の寒村ですが、その素朴な美しさは格別です。表面を焼いた木組みの穀物倉と石で葺いた屋根の建物は昔のままで、いまも文化と伝統、習慣が継承されていることに、深い感銘を受けることでしょう。
ツムットからツェルマットへはなだらかな山腹の径となります。

ツェルマットのハイキングコース案内#2 - ツェルマットからゴルナーグラート

はじめに

今日は、ツェルマットからゴルナーグラートのハイキングコースをご案内します。
本記事を読む前に、以下の記事を一読されることをおすすめします。 alpes.hatenablog.com

スイス全図
スイス全図

カテゴリ

  • ハイキング

コース

ツェルマット(1605m) ==== リッフェルベルク(2582m) ==== ゴルナーグラート(3130m) ---- シュトックホルン(3532m) ・・・・ ツェルマット(1605m)

表記 移動手段
==== 電車 / バス
---- ケーブルカー / ロープウェイ / ゴンドラ
・・・・ 徒歩
登り

登山電車(ツェルマット ~ リッフェルベルク ~ ゴルナーグラート) 約45分。
ロープウェイ(ゴルナーグラート ~ シュトックホルン) 約10分。

下り

徒歩(シュトックホルン ~ ツェルマット) 3時間30分~4時間。

約12kmの草原の下りの径。
途中リッフェルアルプ駅(2210m)から登山電車に乗れば、ここから下の森林帯をカットできる。

ワンポイント

アプト式の登山電車が森林限界を抜けるとアルプの世界です。車窓一杯に素晴らしい眺めが展開されます。
終点ゴルナーグラートはなんと標高3138mもあります。北アルプス槍ヶ岳穂高岳の高さまで一歩も歩かずに運んでくれるこの鉄道が、今から約100年も前に完成したというから驚きです。
しかも、ホテルやレストランもあり、テラスでの食事はそのロケーションといい最高でしょう。(しかし、世界中の観光客でいつもごったがえしています。)
この先ロープウェイと約30分の登りで、シュトックホルン(3533m)の頂上に立てば、ヨーロッパアルプス第二の高峰モンテローザ(4634m)をはじめ、リスカム、カストール、ポリュックス、ブライトホルン、そしてマッターホルンと連なる超4000m峰のパノラマの展開を楽しむことができます。
また、はるか下方にはゴルナーグラート氷河が望め、その雄大さはきっといつまでも想出に残るでしょう。
下山は、"アルプの世界"とマッターホルンを眼前に眺めながら自由に散策する数時間です。

元気印の人は、ゴルナーグラートから氷河に降りてみたらどうでしょう。トレースは、はっきりしていて安全に氷河を歩くことができます。

途中のリッフェル湖に浮かぶマッターホルンの姿は迫力があり圧巻です。

ツェルマットのハイキングコース案内#1 - ツェルマットからスネガ

はじめに

今日は、ツェルマットからスネガのハイキングコースをご案内します。
本記事を読む前に、以下の記事を一読されることをおすすめします。 alpes.hatenablog.com

スイス全図
スイス全図

カテゴリ

  • ハイキング

コース

ツェルマット(1605m) ---- スネガ(2210m) ---- ブラウヘルト(2601m) ---- ウンターロートホルン(3103m) ・・・・ ツェルマット(1605m)

表記 移動手段
==== 電車 / バス
---- ケーブルカー / ロープウェイ / ゴンドラ
・・・・ 徒歩
登り

ケーブルカー・ロープウェイ(ツェルマット ~ スネガ ~ ブラウヘルト ~ ウンターロートホルン) 約50分。

下り

徒歩(ウンターロートホルン ~ ツェルマット) 約3時間30分。

ブラウヘルトからシュテリ湖迄30分ほどのほぼ水平の道。
この湖から約1時間の下りでグリンジェ湖、さらにスネガのライ湖からはフィンデルンを経由して約2時間の下りでツェルマット。

ワンポイント

"世界一の山岳景勝地"といわれるツェルマットですが、特に、グリンジェ湖に映るマッターホルンの姿は最高に素晴らしく、スネガの湖の景観とともにカレンダーなどであまりにも有名です。
このハイクは絶対お薦めのコースです。マッターホルンが最も美しく眺められる山上の楽園からスタートして、マッターホルンをいつも正面に眺めながら、しかも素朴で美しい山村を通って、ツェルマットまでの下りは、誰もが楽しく歩けるハイキングコースです。

私達は、登りにはケーブルカーやリフトなど文明の利器を使いますが、乗り物を使わずに歩いて登って来る人達もたくさんおります。ほとんどが長期の滞在者で、ヨーロッパの先進国の人達の休暇の過ごし方がうかがえます。

これら行き交う世界の老若男女と、世界の言葉であいさつを交わしながらの楽しいハイキングとなるでしょう。
さぁ、あなたも勇気と元気をだして「グーテンターク!」。山のあいさつは世界共通です。

  • Guten tag(ドイツ語)
  • Bon jour(フランス語)
  • Buon giorno(イタリア語)
  • Good morning(英語)
  • Konnichiwa(日本語)
  • Buenas tardes(スペイン語)

「コンニチワ!」と声をかけてくれる人が意外とたくさんいることに気付くでしょう。そう、Konnichiwaは世界の共通語です。

アルプスのハイキングコース案内

はじめに

今日からは、アルプスのハイキングコースをご案内していきます。
本ブログでは、アルプスの山小屋もご案内しています。よろしければ、以下の記事もご一読ください。 alpes.hatenablog.com

スイス全図
スイス全図

アルプスのハイキングコース案内

ヨーロッパアルプスにはよく整備されたたくさんの素晴らしいハイキングコースがあります。
なかでも、スイスには地球一周よりも長い5万キロにもおよぶハイキングコースがあると紹介されています。
したがって、ここにとりあげたコースはほんの一部です。
初めてアルプスを訪れて、限られた日数のなかでチョット頑張って有効に楽しみたいというスタンスで、ツェルマット、グリンデルヴァルトシャモニー、サン・モリッツのリゾートのポピュラーなコースを紹介してあります。
スイスにかぎらず本当に静かで素晴らしいコースは団体の観光客が案内されないリゾートのハイキングコースです。
アルプスのまだまだ観光化されていない山村を起点とする素晴らしかったコースが、ここに紹介した以上にあります。
絵ハガキ的かつガイドブック的なコースにはない素朴なアルプスの原風景にであえます。

スイスのハイキングコースの標識
スイスのハイキングコースの標識