アルプスの山小屋案内#6 - ブリタニア小屋(Britannia-Hütte)
はじめに
今日はザースフェーのブリタニア小屋をご案内します。
本記事を読む前に、以下の記事を一読されることをおすすめします。
alpes.hatenablog.com
山域
ヴァリス ペニンアルプス
リゾート
ザースフェー
ロケーション
ヒンターアラリンとクラインアラリンの鞍部にある。
標高
3030m
出発地
ロープウェーのフェルスカンヌ駅(2991m)
用具
ストックがあれば有効。
難しさ
山腹に造られた広い道の楽な雪上の歩行。
所要時間
ロープウェーのフェルスカンヌ駅から小屋まで45分
カテゴリー
- A
- A
- AA
- B
※カテゴリー詳細はこちら
コースのアウトライン
晴天の日のフェルスカンヌは、多数のツーリストが3500mの高所にある展望台(ミッテルアラリン)を目ざして、ロープウェーから地下ケーブルカーへの乗り換えに忙しい。建物から一歩外へでれば、もうそこは万年雪の世界で、小屋までは、圧雪車で整備されたほとんど登り下りのない幅の広い雪の道が続いている。アプローチ(4.)のカテゴリーはBとなっているが、Cの要素をもったBとおもってよい。
ワンポイント
小屋の裏側(北)にあるクラインアラリンに登れば(約15分)、南から東にかけてシュトラールホルン、リンプフィシュホルン、アラリンホルン、アルプフーベル、ティーシュホルン、ドム、レンツシュピッツエさらにザースタール越しにはラギンホルン、ヴァイスミースとミシャベル山群の4000m峰のパノラマを満喫できる。
石造りのガッチリした小屋の正面には分厚い銅版のヒュッテ銘と2枚のレリーフがある。
アルプスの登山活動において、英国人アルピニストの活躍はめざましいものがあるが、その輝かしい歴史のスタートが1854年8月15日のシュトラールホルン登頂であった。この登頂から登山史に英国人が登場し、アルプスで最も4000m峰を有するヴァリス山群だけをみても、38座中26峰の初登頂を英国人登山家がものにしている。
このような経過から、シュトラールホルン登頂の際キャンプサイトとなったであろうクラインアラリンの肩のこの場所に小屋を建て、スイス山岳会に寄贈したもの(であろう)。
なぜスイスのザースフェーに"英国小屋"があるのか疑問におもっていたのであるが、この小屋を訪れて2枚の立派なメモリアルプレートをみて納得した。明日登るシュトラールホルンを仰ぎ見ながら頭のなかで、登山史やヴァリス山群の資料等が整然と交わり、知的充実感を味わった。登山は知的なスポーツだ!
ヒュッテ壁を飾る横顔の浮き彫りレリーフは、英国山岳会会長・スイス山岳会英国人会員会長・スイス山岳会名誉会員、CLINTON-T-DENTとあり、メモリアルプレートは、"Association of British Members of the Swiss Alpine Club"が1912年にこの小屋を建設し寄贈した経緯が彫られている。